去る9月21日(月・祝)、3連休中の中間日のこと。学芸員が休日当番で出勤していたお昼過ぎ、小学生の男の子が地階事務所を訪問してくれました。

 訪問してくれたのは、国立市立国立第三小学校6年2組の田中秀太郎君。その時に田中君自作の「南養寺」のスタンプと、それを押す手作りのスタンプ帳のサンプルを持参して、当館へとひとり(弟かな?小さな男の子も一緒でしたが。)“依頼交渉”のため来館してくれたのです。

スタンプ帳
「くにたち歴史歩き」サンプル

田中君がサンプルに持参してくれたスタンプ帳の見本。
スタンプの設置場所として各所の案内がされています。

 その時の田中君とやり取りしたメモによれば、彼のクラスみんなに手作りのスタンプ帳「くにたち歴史歩き」(上の画像はサンプル。実際は水色の厚紙に印刷したもの。)を配布し、9月23日以降にクラスメイトがそれぞれの場所を巡って、各所でスタンプを押してもらうという企画を実施予定とのこと。既に旧国立駅舎にはスタンプを置いてもらってきたのだが、当館のすぐ北側に所在する「南養寺」のスタンプを当館に設置して、クラスメイトが来館した際にスタンプを押してもらうことはできないだろうかという依頼を携えて訪問してくれたのでした。
 地元の小学生が、主体的に地域の歴史へと目を向けてくれたことが何よりも嬉しかったのと、クラスのみんなが参加して設定場所をそれぞれ訪れてくれることが、“わがまち”を知るよい機会にもなってくれることから、ふたつ返事で承諾。「オジサン(担当した学芸員)から館長やみんなに話しておくので、ひとまず預るヨ。大丈夫、みんなが来たら押せるようにしておくから。」ってなことを話して、スタンプの設置場所やスタンプの色などをその場で田中君と相談して決めたのでした。
 田中君の説明としっかりした態度は本当に素晴らしいものでした。準備万端、話す内容も的確で大人顔負けの説明ぶりに、対応しているこちらは感心しきりでありました。

 その後、クラスの企画も終わった11月22日(日)。再び田中君が設置していたスタンプを回収に来館してくれました。しかも、設置してもらったお礼にと丁寧な手紙をわざわざ認め、持参してくれたのです。偶然にも、その日も依頼を受けたのと同じ学芸員の休日当番日でした。依頼時同様、しっかりした話しぶりもさることながら、お礼の手紙まで用意してくれたことに、感動のあまり涙があふれんばかりでした。「オジサン(担当した学芸員)は感動したよ!こちらこそ本当にありがとう!」ってなお礼を伝えはしましたが、どちらが大人なのか分からないといったアリサマでした。

田中君からのお礼状
イベントを通じて、国立の地域の歴史を学ぶ機会ができたと、しっかりと伝えてくれています。
地域の歴史へと目を向けた6年2組のみんなに拍手です。

 なお、お手紙にも記されていますが、この企画が地域のことを学ぶ良い機会になったとのこと。しかも、この企画が発信源となって、国立の魅力を伝えるパンフレットづくりへと発展。年末には旧国立駅舎内での展示に結び付いたとのことでした。

 田中君の訪問によって、第三小学校の6年生のみんなが地域の歴史へと目を向けていることを知ることができましたが、この度、6年生のみんなで作成した旧国立駅舎の魅力を示したパンフレットが、旧国立駅舎「広間」において展示されることになりました。

「旧国立駅舎とおともだち
/国立市立国立第三小学校6年生 約70人による旧国立駅舎パンフレット展」

【開催期間】2020年12月25日(金)~同27日(日)の3日間
【展示内容】
国立第三小学校6年生の国語の授業カリキュラムの一環で“調べる/伝える”のテーマに選んだのは「旧国立駅舎」。6年生 約70名が作った「旧国立駅舎パンフレット」を一堂に集め、一斉展示します。

 先日、6年2組をご担当されている山本先生からのご依頼により、当館所蔵の写真資料も展示に利用していただけることになっています。
 地元の子ども達が、地域の歴史へと目を向けてくれたその成果を、是非ともご覧ください。私もこの展示を観覧するのをとても楽しみにしているひとりです。

(2020.12.15:中村記)