去る10月17日(日)の午後、小雨が降る生憎の天気でしたが、小学校3年生の蓮君がお父さんと一緒に当館へ来館してくれました。
これは、蓮君が通う小学校で夏休みの課題として提出した旧国立駅舎に関する研究が手元に戻ってきたので、当館の学芸員へと報告するために持参してくれたのでした。実は、蓮君とは前にちょっとした関わりがあり、その縁で今回報告に来てくれたのです。

 旧国立駅舎のスタッフから、旧駅舎をこよなく愛する男の子がいるとの情報を得た当館の学芸員。何かの参考になればと資料のコピーを提供したのが最初のきっかけでした。そして6月末から7月初めに当館に設置した七夕飾りの笹竹に、次のような願いが記された短冊を学芸員がみつけました。

「国立駅のかんばんをさいりようして。 れん」
 おっと、これはもしや旧国立駅舎好きの少年が飾り付けたのか?とピンときた学芸員。「ちょうど企画展示の合間で展示可能だし、せっかくの要望があったのなら星に代わって願いをかなえよう!」ということ

で、7月9日から19日までの短期間でしたが、多くの方に駅名表示板を見てもらえるように再展示しました。そのキッカケを作ってくれた蓮君も、もちろん駅名表示板を観に来館してくれたのですが、ちょうど行き違いで実際に会って話す機会がありませんでした。

 そんな折、蓮君のお父さんから旧駅舎の研究成果を報告したいとのご連絡をいただき、「是非ともお願いします」ということで、やっと蓮君と直接会って話ができました。

 持参してくれた報告書は、「現在の旧国立駅舎」「旧国立駅のれきし」そして旧駅舎の構造や建築経緯をまとめた3部構成をひと続きに仕立てた大判サイズで、写真や図解、調査内容をまとめた文章が記されているものです。初めての対面でちょっと恥ずかしかった様子の蓮君でしたが、学芸員へとその内容を示して旧駅舎について報告をしてくれました。旧駅舎を描いた図では、大人でも結構間違いがちなところを正確に描写してあって、日頃調べている成果がよく示されていました。
 蓮君は、都内各地の駅舎も見学しているようですが、その中でも旧国立駅舎がお気に入りとなっているようです。お父さんともお話しさせていただいたところ、蓮君は駅舎の建築的な要素や構造にとても興味があり、最近では鉄道にも興味が向いてきているとのことでした。
駅舎として活躍していた頃を知らない蓮君が、再築された旧国立駅舎に魅かれ、自発的にそれを調べて丁寧にまとめてくれたことを、学芸員として大変嬉しく思います。そしてわざわざ直接報告に来館してくれたこと、本当にありがとうございました。
これからも旧国立駅舎に関わる調査を是非とも続けていってくださいね。そして発見したことをお互いに情報共有できたら楽しいなぁ、なんて考えています。

追伸
そうそう、ちょうど駅名表示板が旧国立駅舎内で展示されることになりました。
東京文化財ウィーク特別企画
「おかえり!国・立・駅 あの駅名標の里帰り」
10月30日(土)~11月5日(金)の1週間、旧駅舎の展示スペースにて国立市教育委員会が主催で展示します。写真撮影もできるようにセットするようですから、ぜひぜひ旧駅舎の中で、駅名とともにパチリとやってください。

(2021.10.27:中村記)