録画撮りのため来館したお二人にお話をうかがいました。
音高時代の専攻は?
武本|電子オルガン科です。
田谷|ピアノ科です。
ジャズに転向したのはなぜ?
武本|塩谷哲さんのソロピアノコンサートに行った時、ソロなのに舞台上にピアノが2台…。何が始まるのかと見守るうち、特別ゲストで小曽根真さんが入り、そのままセッション。言葉に言い尽くせない衝撃を受け、自分が一生かけて追及していきたい音楽だと確信しました。
田谷|ポップスを歌いに、彼(武本)と一緒にライブハウスに行ったことがあるんです。楽譜を書いてバンドに渡したものの、僕はクラシックだったので、初めての人と音楽が成立するのか不安でした。ところが形になったので衝撃を受け、そのあと彼がピアノでバンドと一曲セッションしたのを聴き、こんな世界があったのか、その世界に行きたいと思いました。
ジャズ科に入学して驚いたことは?
武本|空き時間や放課後の時間です。そこら中でセッションをやっていて誘われます。玉砕覚悟で弾きに行き、それでずいぶん場数を踏みました。
田谷|ビッグバンドの授業です。初めての授業でいきなりビッグバンドでソロを弾けと…。
クラシック畑だから事前に準備していきたい派なんですが、本番当日「イントロ、もう何小節増やしてもらっていい?」と言われ、「いやです」とは言えず、そこから地獄を見ました。(笑)
音楽をやっていこうと意識したのはいつ?
武本|エレクトーンの発表会を見に行った時に、4歳上の人の演奏を聴いてこれをやりたいと始めたのが6歳。それ以来エレクトーンにのめりこんで気づいたら今がある…。特に音楽を志すきっかけはありません。音楽はライフの一部、自分の一部のようでした。父は新聞記者、母はピアノの先生、姉は競技ダンスのダンサーで、音楽一家というのではないです。僕も競技ダンスをちょっとやっていて、全国大会6位をとったこともあります。
田谷|ピアノは3歳から続けていてコンクールにも出ていましたが、小学校からずっと野球をやっていて、甲子園をめざす学校に入ろうと思っていました。ところが、中学最後の試合で、ひじを壊してしまい大きく進路が変わりました。武器がもうひとつあるのだからピアノでやっていこうと音高に行きました。実は僕は双子で弟は野球に進みました。
ジャズの魅力って何でしょう?
武本|ジャズの世界ってその時しか生まれない音というか、その人の生き様みたいなものが垣間見えることがあって、僕の恩師はそれを宝石のようだと…。
武本|その宝石が輝くのをみると、こちらもそれにこたえたい。まずは聴くこと。相手がどんな音を出してくるのか、それに対して自分がどういう音を出すのかというのを聴いて、物語が進んでいくみたいなイメージです。特に何かをやろうとしているのではないことは確かです。
武本|いい意味で脱力して、相手の音も自分の音も聴けているリラックスした状態でやると、たまになにかスゴいところに行けたりする…。言葉にするのが一番難しいけれど、ジャズの魅力はそこに尽きるかもしれません。
田谷|僕は、じゃんけんをしているような気持ちです。常に空気を共有していて「これを出したら相手は次はこれを出してくるのかな」みたいな駆け引きをずっと楽しんでいるような感覚ですね。だから想像もしなかったものがパーンと飛んできて「そうきたかぁ!」という時には、思わず笑ったり、「あぁ~」とか声出したりして弾いています。
武本|常に会話をしているような感じです。
田谷|まさにそうですね。会話のキャッチボール。
ぜひ、バレンタインデーの夜には、音の会話を聴きにきてください!ご来場お待ちしています。