森岡さんとくにたち
国⽴へ通ったのは 6 年間ですからね。思い出はたくさんあります。国⽴駅のロータリーにあったゲームセンターでプリクラを撮ったり、本屋さんで⽴ち読みしたり、⾓のマクドナルドってまだあります?仲間たちととりとめのない話を延々としたり。学⽣らしい記憶がたくさん残っています。⾼校を卒業してからはすぐにフランスでの⽣活ですから、⽇本での学⽣⽣活のすべては国⽴が原点。⼤切な思い出の⼟地です。
フルートと⾳楽に向き合うこと
フルート奏者の⽗がきっかけで私もフルートを始めました。⼩学校の⾳楽の時間も⼤好きで、普段は歌をよく歌っている⼦供でした。⽗が「フルートも歌と似ているよ」というので、ちょっと吹かせてもらったら本当に⼀緒!今も演奏しながら感じますが、⾝体の使い⽅が⼀緒なんです。歌うように吹けるし、声では出ない⾳域も出せるし⾯⽩い!勉強を始めたのは国⽴⾳中に進学しましょうとなってからです。
フルートを吹くのが⼤好きなので、⽇々の練習は嫌ではなかったし、こう⾒えても結構真⾯⽬な性格なので(笑)、⽬の前にやらなければならないことがあったら、今やらないと気が済まないタイプでした。中学 3 年の時に⽇常⽣活が送れなくなるほど健康を壊してしまいました。⼼も体も健康ではない状態というのは⾟かったです。
でも、体調を崩したことで気づけたこともありました。「なんで好きなんだろう?」とか、「なんで体がこんなになっても続けているんだろう?」とか、「それでも辞めたいって気持ちにならないのはなんでだろう?」と考えました。私はそこで⾳楽は他⼈と繋がれるツールなんだということに気づかされました。
今思えば、それまでは⾃分のためだけに吹いてきました。でも、健康でなければ⾳楽を共有することもできないと思ったんです。⾳中⾳⾼で、すごく良い経験をいっぱいさせていただき、フルートを続けていこうと決めました。
今回のプログラムについて
《⾳楽》と《踊り》は深い結びつきがあります。⾳楽も踊りも、さまざまな思いを伝え、⼈と⼈が交わるための⼈間の⼤切な表現⽅法の原点と⾔えます。ただフルートの⾳⾊を楽しんでいただくだけではなく、⾔葉ではないツールで発せられるメッセージを受け取っていただけたら嬉しいです。
踊りは「はい!今から踊りましょう!」と⾔ってヨーイ・ドンで踊ることもできるけど、⾳楽に合わせて体が動き出しちゃうとか、なんかムズムズしてリズムを感じるとか、そういう⾵に⾳楽を感じてもらえたら嬉しいと思います。
フルートの曲は知らないとか、聴いたことがないからと思わずに、知らない曲こそ⽿を傾けて欲しいと思います。「こんな曲があるんだ!」でも「この曲の何がいいの?」でもいいんです。こういうことを感じている時点で、その⼈の⼼が動いているということです。
今回は《カルメンファンタジー》のような、知っている曲もたくさん演奏しますが絶対に知らない曲もあると思います。でもプログラムの全体を聴いていただいて、どれか 1 曲でもみなさんの⼼に響いたらとても嬉しいです。お待ちしています!