古民家の東側に、薪が積んであります。谷保は、雪に埋もれて難儀をする土地ではありませんし、普段使いに用意しているだけなのですが、薪の山を見ると、やはり冬の到来を感じさせます。1年を顧みて、新しい歳の善き事を願うのもこの季節です。
詩人の三好達治は、「汝の薪を運べ」という詩を残しています。その終わりの部分はこうです。
薪をはこべ
ああ汝
汝の薪をはこべ
日はなほしばし野の末に
ものの花さくいまは秋
その秋の林にいたり
汝の薪をとりいれよ
ああ汝 汝の冬の用意をせよ
この詩は昭和14年に発表されました。来るべき冬に備えるだけでなく、時代そのものへの洞察もあったのかもしれません。
落ち葉を踏んで、城山公園や古民家周辺の散策を楽しめる季節が来ました。足を延ばせば郷土文文化館も間近です。晩秋から初冬への移ろいを感じに、どうぞお越しください。