[書名]くにたち郷土文化館 研究紀要 第11号
[発行]くにたち郷土文化館
[請求番号]10/P4
当館では、今年度(2020年度)において研究紀要第11号を発刊いたしました。当館の研究紀要では毎号、各分野の研究者が国立の歴史や文化、自然および博物館活動などについて調査・研究した内容がまとめられています。今号では、歴史や民俗に関する論考4本を収録しており、いずれもくにたち郷土文化館所蔵の資料等を調査した内容がまとめられたものとなっています。その調査・研究の成果を、是非とも手に取ってお確かめください。
・都立国立高等学校歴史考古学部より寄贈された資料について2
―国立市南養寺遺跡出土遺物―
佐々木 克典
都立国立高等学校歴史考古学部より当館へと寄贈された、東京都国立市南養寺遺跡出土遺物に関しての紹介。当館の研究紀要第6号(2015年3月刊行)において発表された同氏の調査報告(「都立国立高等学校歴史考古学部より寄贈された資料について」)の第2弾にあたる報告です。専門的な見地から寄贈資料の綿密な調査、研究がなされており、その成果が余すところなく発表されています。考古資料の解析などを通じて、同校の歴史考古学部の活動が解き明かされています。
・佐伯家文書に見る飯盛旅籠田中屋について
原 祥
当館所蔵の佐伯家旧蔵・襖の下張文書を用いて、それらの文書類が語る史実を、綿密な調査と研究によって解き明かした意欲作。当館の研究紀要第8号(2017年3月刊行 「佐伯家文書の概要―田中屋万五郎と警吏、博徒、遊女関連史料について―」)、同第10号(2020年3月刊行 「佐伯家文書に見る田中屋万五郎と両国屋宇七郎」)に引き続き、同氏によって佐伯家文書の調査成果が綴られた第3弾になります。豊富な知識と情報に基づき、佐伯家資料に詳細なる検討が加えられており、その過程が開陳されています。
・府中用水の取水システムの変遷(上)
―多摩川からの取水―
小坂 克信
当館所蔵の府中用水関係文書とともに、国立市や府中市の諸家文書を活用し、多摩川の水利について府中用水をクローズアップした論考。府中用水において、多摩川の水をどう取り入れ、その取水システムがどのように変遷したのか、資料を詳細に解読することで解き明かされた力作です。また、用水に係る工事方法や材料、その費用負担や割合、用水組合の活動なども併せて述べられています。今回は江戸時代から昭和初期までの論述となっていますが、今後の続編が期待されるところです。
・宮本常一の講演記録からみる民衆の暮らし
松本 美虹
当館が所蔵する民俗学者 宮本常一氏の国立市民を集めて開催された講演会の記録のカセットテープ(2本)を用いて、その講演内容がまとめられています。詳細な資料が遺存しない状況下で、講演記録の音声のみを材料に宮本氏の講演内容を見事に抽出・採録した苦心作です。宮本氏の講演内容を記録した書籍と共通した論点のみにとどまることなく、初出とみられる同氏の論点までもが採取されています。「宮本氏の肉声を通して彼の考えを現在に伝え」た論考となっています。
※:研究紀要第11号は、当館1階で販売中です(800円 税込み)。お求めに関してご不明な点などございましたら、当館宛(℡ 042-576-0211)お問い合わせください。
【Ryou】