[書名]くにたち郷土文化館 研究紀要 第12号
[発行]くにたち郷土文化館
[請求番号]10/P4
当館では、2022年度において研究紀要第12号を発刊いたしました。当館の研究紀要では毎号、各分野の研究者が国立の歴史や文化、自然および博物館活動などについて調査・研究した内容がまとめられています。今号では、歴史や地理等に関する論考4本が収録されており、当館所蔵の資料を調査した内容や当館を含めた社会教育機関への提言をまとめたものとなっています。その調査・研究の成果や提言を、是非とも手に取ってお確かめください。
国立市の「野みず」と地形 角田 清美
国立駅の南側一帯では、かつては大雨に見舞われると「野みず」が出現し、浸水による被害が繰り返し発生していました。この論考では、国立市における「野みず」の発生とその地形や地質の特徴などが詳述されています。自然地理学の立場から行われた調査による各種データが示され、図面等も数多く提供されており、様々な特徴をもった国立市の地形に関して、その調査と研究の成果が余すところなく発表されています。
田中屋万五郎と道案内たち―飯能村森太郎による秩父郷芝居事件の探索を中心に― 原 祥
当館所蔵の佐伯家旧蔵・襖の下張文書を用い、その文書類が語る史実が、綿密な調査と研究に基づいて解き明かされています。当館の研究紀要第8号(2017年3月刊行 「佐伯家文書の概要―田中屋万五郎と警吏、博徒、遊女関連史料について―」)、同第10号(2020年3月刊行 「佐伯家文書に見る田中屋万五郎と両国屋宇七郎」)、同第11号(2021年2月刊行 「佐伯家文書に見る飯盛旅籠田中屋について」)に引き続き、同氏による佐伯家文書の調査成果が綴られた第4弾です。今回は当館で開催した歴史講座の内容がベースとなっており、多摩地域の周辺資料についても検証が加えられ、「道案内」たちの動向がつぶさに追いかけられています。
府中用水の取水システムの変遷(中)・(下)―多摩川からの取水― 小坂 克信
当館所蔵の府中用水関係文書に基づいて、多摩川の水利に関して府中用水をクローズアップした論考。当館研究紀要第11号(2021年2月刊行)において発表された同氏の調査報告の続きで、今回は昭和初期から平成初期が取り上げられています。近代の府中用水において、多摩川の取水システムに関する工事がどのように行われていたのか、綿密な資料調査に基づいた各種の表や図面を多数用い、当時の世相と併せて、取水工事の動向等が詳細かつ綿密に論述されています。前回の論考とともに、近世~近現代の府中用水を知るための貴重な情報が満載です。
地域資料を核とした社会教育機関の連携について ―住民自治の発展を支えるために― 荒井 敏行
当館や国立市の公民館・図書館といった社会教育機関において、地方自治体等の職員として41年間に亘る勤務経験のある筆者が、社会教育機関が所蔵する資料の活用に関し、その「連携」という観点から考察を加えています。住民自治を支えるための地域資料のあり方、各館における地域資料との関り方や課題の提起がなされ、地域資料を核とした社会教育機関の連携に関し、国立市で模索されている「MLK(博物館・図書館・公民館)連携」に触れつつ、今後取り組むべき課題や展望等について指摘・提言がなされています。
※研究紀要第12号は、当館1階で販売中です(800円 税込み)。お求めに関してご不明な点などございましたら、当館宛(℡ 042-576-0211)お問い合わせください。
【Ryou】