郷土文化館には、全国の博物館や資料館からさまざま資料が送られてきます。中でも面白いのが、企画展や特別展といった、展覧会の開催にあわせてつくられる図録です。展覧会は、おおむね学芸員と呼ばれる専門家がプロデュースするのでしょうが、その学芸員の個性というか、意識というか、とにかく図録もユニークなものが多いのです。
 江戸東京博物館は、都内でも屈指の施設ですが、送られてくる図録の幅広さには驚嘆させられます。例えば、東京スカイツリーができたときには、完成記念特別展として『ザ・タワー 都市と塔の物語』を行い、写真のような図録が作られています。これは、スカイツリーのガイドブックというより、多角的な資料によって、人間と“塔”の関わりを紹介した内容になっています。外国の塔から、東京タワーや大阪の通天閣、古くは浅草の十二階まで取りあげているあたりは、学芸員の「こだわり」が感じられます。
 この他にも興味深い図録がたくさん。郷土文化館で図録の迷宮を楽しんでみませんか。

くにたち郷土文化館
館長 荒井敏行