くにたち郷土文化館の常設展示室では、国指定重要文化財に指定されている緑川東遺跡出土 石棒4本を展示しています。

 石棒とは縄文時代の磨製石器の1種で、子孫の繁栄や豊かな実りを祈願するための道具ではないかと考えられています。大形の石棒は柱状節理の長い原石を叩いて、角を取り、さらに磨くという工程を施して作成したと思われます。
 緑川東遺跡から出土した4本の大形石棒は、いずれも安山岩系の石材と推定され、長さが約103~113cm、幅12~14cm、重さ22~31kgと、ほぼ同じ大きさに揃えられています。また、頭部は1~2段の笠状をしています。
 石棒1は断面がいびつな楕円形をしていて、両面に節理面が見られます。
 石棒2は4本の中で最も短い石棒で、下端部に欠損が見られます。
 石棒3は頭部の笠が唯一1段になっています。
 石棒4は4本の中で最も大きく、頭部の笠は丸みを帯びています。

・国指定重要文化財
 通常石棒は、被熱や破損した状態で出土する事例が多いですが、緑川東遺跡で発掘された大形石棒は、ほぼ完全な形のものが遺構内に4本並べ置かれた状態で出土しました。これは縄文時代の石棒祭祀の具体的なあり方を考える上で、学術的価値が極めて高いものであると評価され、2017年9月15日に、国立市が所有する文化財として初めて、国の重要文化財に指定されました。

発掘調査風景

・敷石遺構SV1と大形石棒
 緑川東遺跡は国立市南西部、青柳1・3丁目に位置し、青柳段丘面にあります。
4本の大形石棒は、緑川東遺跡第27地点の敷石遺構SV1(長径3.3m、短径3.1m、深さ0.6mのほぼ円形)から出土しました。
 この遺構には床面に河原石が敷かれており、その中央に石棒が4本並べ置かれていました。炉跡や焼土が確認されなかったため、住居ではなく敷石遺構と呼ばれています。
敷石遺構SV1

・附土器残欠
 敷石遺構の覆土からは、4本の大形石棒とともに多数の土器片が出土しています。石棒4本の重要文化財指定にあたり、復元が可能な深鉢形土器2点と赤彩された土器片1点が、附(つけたり、付け加えたもの)指定されています。
 縄文土器は発掘された遺構の時代を決定する重要な遺物で、緑川東遺跡の場合、敷石遺構内に4本の大形石棒が並置された時期を示す資料となります。また、地元の土器に加え、関西系の土器もあわせて出土しています。
 加曽利EⅤ式土器(高さ53cm、口径40cm)は、関東地方中心に分布するもので、附指定を受けた土器残欠3点のうち最も大きなものです。
 北白川C式土器(高さ30cm、口径35cm)は、関西から東海地方に分布する土器です。
 中津式土器片も関西地方に分布する土器で、表面には水銀朱が塗られている部分があります。これは、縄文時代での水銀朱の利用を示す最古級の事例として貴重なものです。

土器の出土状況

加曽利EⅤ式土器

北白川土器

中津式土器